2009年12月22日
『私は町の保安官』
私はロンドン生まれのロンドンっ子。そんな私が、なんでこんなアメリカの大西部にたった一人でいるのかというと・・・。
話せば長くなります。かいつまんでお話ししましょう。
時は1820年。最近わが祖国、大英帝国は新天地アメリカへの移住が一種の流行のようになっています。
イングランド、ウェールズ、スコットランドは言うに及ばず、アイルランドからも多数の民衆がその新天地を目指して
続々と押し寄せているのです。それぞれがそれぞれの夢を抱いて、危険な航海も省みず海を渡っています。
私の両親も、親戚が大勢アメリカへ行く中、ついに行くことを決めたのはつい1ヶ月前のことでした。
ところが行く寸前になって、二人とも予想以上の膨大な準備に体を壊してしまい、ダウンしてしまったのです。
アメリカ行きの船の予約はなかなか取れない上、よもやキャンセルをしようものなら、べらぼうに高くつきます。
なので両親は、せめて私だけでも先に行くようにと説得してきたのです。
先に行って、とりあえず落ち着き先を探したり、様子を知らせたりするようにと言われたのです。
こうして世間の恐さなどまだまだ知らない娘が一人、愛馬に跨り、荒くれどもの跋扈している時代の西部地帯を
一人で旅しているという訳なのです。
ところが今回、新しい町を目指して出発したものの、何日もその町を探すことが出来ずに荒野をさまよい、
ついには手持ちの食べ物も飲み水さえ底を尽いてしまいました。

これが愛馬「ジャジャ号」。さすがに疲れた様子で苦しそうだったので、可哀相になり、鞍もはずしてやりました。
私もジャジャも、のどはからから、お腹はペコペコで、もう限界の状態です・・・。

と、そこへ! 次の小さな丘を越えたら突然、幻のように目の前に町が現れたのです。
「助かった!」
「神様、ありがとうございます!」

とりあえず一番手前の家に近寄り、足を引きずるようにして玄関にたどり着きました。
看板にサルーンって書いてあるから、たぶん食べ物にありつけそうです。

ところが入ってみると、そこは銃砲店でした。サルーンって言ったら、普通飲み物とか食べ物があるんじゃなかった?

店主は私の言うことには耳を貸さず、商品を売りつけようと一方的にしゃべりまくってきます。
そんな店主は放って置いて、さっさとジャジャと私は次のお店へと行ってしまいました。

幸いすぐ隣のお店で探していた物を買うことが出来ました。一息ついて、ジャジャも満足そうです。
隣には一回り大きな馬がいて、びっくり。やっぱりこういう大きな馬じゃないと、この広大な西部を走り回ることは出来ないのでしょうか?

その後、一人でゆっくりと町の中を散策していた時のことです。突然一人の男性から声をかけられました。
どこから来たのかとか、これからどうするんだとか、お決まりの質問に答えていたら、彼がこの町の困っている現状について
話してくれました。
何でもこの近くには悪党集団がいて、旅人や郵便馬車などを襲っては、既に何人もの町の住人を銃殺しているようなんです。
しかも今現在、保安官は一人もいないというではないですか。 つい昨日も定期馬車が襲われて、護衛についていたこの町の
保安官が2人、殺されてしまったそうなんです。それで現在、保安官が全くいない、ということらしいです。

男性と話していると、そこへ一人の女性が現れました。私たちの話を少し聞いていた彼女は私に向かって
「あなたが保安官になってくれない?」
と、突然言い出しました。 な、なぜに私なんでしょうか?
この町の男たちは悪党集団に恐れをなして、もう誰も保安官になろうとする者がいない、と言うんです。
そんな事ってあるんでしょうか?!
「何も知らないよそ者のあなたが保安官になるのが一番良いのよ」
って・・・もう知ってしまったんですけど? それにそれって、私の命を軽んじてませんか?

かくして、粋なドレス姿から急にこんなガンマンのような格好になったのは誰かといえば・・・。

ジャーン。そう、私です。こうして、私は保安官になりました。

私だってこう見えても、遠い祖先にはバイキングを持つ身。そして男友達のタダオ~さんからはじゃじゃ馬と恐れられた存在。
そんじょそこらの悪党どもに負けはしないわよ。一丁、相手になって差し上げましょう。ホホホ。

=(次回へ続く・・・かも?w)=
Posted by カレン at 14:40│Comments(0)
│SL紙芝居
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