別れ

今日、私の好きだった人がこの町を去って行く。今、この電車に乗って、行ってしまう・・。
私が初めて好きになった人。そして大好きになった人。さようなら・・。

涙なんか流しません。むしろ明るく笑って、あなたの門出をお祝いします。
あなたがいつまでも元気でありますように、そして幸せになりますようにと、ただそれだけを祈って。


・・・ああ、電車が動き出した。
涙がこぼれそうなほど辛いけど、決して泣きません。せっかくのあなたの晴れがましい出発の日。
そんな日に泣くわけにはいきません。でも「お元気でね。お幸せにね」そう言いたいけど、言葉が出てきません。
口を開いたら、きっと泣いてしまうから、だから何も言えないの。





窓側に見えるあなたの姿。手を振っているあなたの姿。でも、そのあなたの姿がだんだんと見えなくなっていく。
待って、本当に行ってしまうの？！　最後にもう一度、もう一度だけ・・・。　　待ってー！





心の全てをあなたに捧げたの。そのあなたが二度と戻らないなんて・・・。
我慢していた涙が一筋、知らず頬を流れ落ちる。そうしたら次から次へと、堰を切ったように流れ落ちる・・・。
私はいつの間にか、声を上げながら泣いていた・・・。